授業をつくるTV

このブログでは,youtube「授業をつくるTV」と連動して,子どもと教師,子ども同士のやり取りから,授業の姿やそれを作り出す教師の思いを考えていきます。

【本】みかづき

連日,20人近くの子どもが勉強をするために押しよせる用務員室,通称「大島教室」。

小学校用務員,大島吾郎に教わるとよく分かる。

ある日,そんな噂を聞きつけ,児童の母親である赤坂千明が大島教室を訪れます。


「私,学校教育が太陽だとしたら,塾は月のような存在になると思うんです。太陽の光を十分に吸収できない子どもたちを,暗がりの中で静かに照らす月。今はまだはかなげな三日月にすぎないけれど,かならず,満ちてきますわ」

 

まだ,塾もほとんどなかった時代。

千明から塾設立を持ちかけられ,返事に戸惑う吾郎…そこから、この物語は始まります。

みかづき (集英社文庫)

みかづき (集英社文庫)

 

NHKのドラマにもなった本作品。

 

最初の「大島教室」に魅かれながら,面白そうと手に取った本でしたが,読んでみると,3世代に渡る壮大な話でした。

 

時代と共に移り変わる教育観,そのたびに翻弄される塾業界。

塾同士の競争の中,営利か非営利か…進学塾か補習塾か…経営と志の中で揺れ動く,塾教師たち。

 

また,家族の在り方や人としての成長についても考えさせられます。

失敗を繰り返すことで大切なものに気付いていく家族。

自分の教育観を信じ,ゆったりと大らかである吾郎。

そしてその孫の一郎。

 

さらに,本を読み進める中で,その時代を生きた人々の息遣いと共に教育改革の流れを改めて知ることができます。

 

「太陽と月が一つになる」

 

私はこの本を読んで,「将来,学校は小さくなる」という漠然と抱いていたイメージが更に強くなりました。


公教育がその役割の一部を塾に委託したように,きっと,これから,公教育(学校)が担ってきたものを少しずつ,他へ受け渡す時代が来るのではないでしょうか。

 

他とは,一般企業,塾,公の機関,NPOやボランティア団体,または,地域や家庭も含まれます。

 

地域や家庭の教育力の低下から,学校が変わりに担ってきたものがあるとしたら,それをもう一度,地域や家庭に戻すことが必要になってくるのかもしれません。

 

もちろん,そのまま戻すのは難しい。

しかし,何かを介して少しずつ戻そうとする試みは必要であるように思います。

 

そうやって,大きくなった学校教育が小さく小さくなっていく。

 

そして,様々な場所で教育が行われ,結果,子どもの居場所が増えていく…人との関わりが増えていく。

 

居場所が増えることで,一つの場所では認められなかった子どもが,他の場所で生き生きと活動する姿を目にすることができるかもしれない。

 

そんな未来が近づいているのではと思います…